(第1章)企業に経営コンサルタントは必要なのか⁉
この問いに対する見解は様々であるかと思います。
それでは、質問を変えてみましょう。
Q1.企業経営に経営学は不要だと思いますか?
Q2.社内外に信頼できる相談相手は居ますか?
Q3.経営者は、経営の本質(財務、戦略、人材、顧客)を深く理解していますか?
いかがでしょうか。少し回答が変わってくるのではないでしょうか。
さらに具体的に例えるならば、スポーツを始める場合、コーチやトレーナーなどに教わりませんか。もちろんスポーツは見て学ぶこともできますが、コーチやトレーナーから学ぶものは、スポーツ理論です。
先人たちが試行錯誤して作り上げ、確立された手法や理論を学ぶのです。それを学んで理解し、経験を重ねた人は上達するでしょう。
スポーツだけでなく、音楽や絵画などもそうであり、経営においても先人によって確立された理論が存在します。それが経営学です。
経営学の起源・発展は欧米、特にアメリカです。
19〜20世紀初頭の産業革命期、科学的管理法(テイラー)や組織論(ウェーバー)に端を発し、大学での学問体系化はアメリカが先行しています。日本では、戦後、アメリカから経営学・MBA理論を輸入し、ドラッカーやデミングの影響を大きく受けています。
ただし、日本が一方的に遅れているのではなく、経営学において、欧米が理論体系・学術研究として先行していますが、実践的経営や人間的経営としては日本が独自の進化を遂げています。
近年は、欧米が「日本的マネジメント(トヨタ方式・カイゼン・チーム学習)」を研究対象にし、日本が「データドリブン・DX・MBA理論」を吸収し直す動きが進んでいます。
今後の経営学は「理論 × 現場 × テクノロジー」の三位一体、欧米と日本の“融合型経営学”が次世代の主流になります。
もう少し、整理しましょう。
企業に経営コンサルタントが必要な具体例としては、
① 外部の視点による“気づき”の提供
企業は日々の業務に追われ、問題を「日常化」してしまいがちです。
コンサルタントは第三者として、経営者が見落としがちな構造的課題(例:事業ポートフォリオの歪み、人材構成、資金繰りリスクなど)を客観的に指摘できます。
② 専門知識・ノウハウの補完
中小企業では特に、財務、法務、組織開発、DX、補助金申請などの専門知識が社内に蓄積されていないことが多いです。コンサルタントはこれらを「スポット知恵袋」として補完し、短期間で成果を上げる役割を果たします。
③ 経営者の意思決定支援(壁打ち相手)
経営者は孤独です。社員には言えない悩みや迷いを整理するために、信頼できるコンサルタントが“経営の伴走者”として、意思決定の質を高める存在になります。
一方で、「不要では?」と言われる理由もあります。
① 実行力がないコンサルタントも存在する
提案は立派でも、実行支援・現場改善が弱いコンサルタントも少なくありません。
「口だけで終わる」「報告書だけ作る」といった悪印象を持つ経営者も多いです。
② 経営者自身が優秀であれば不要
経営者が経営の本質(財務、戦略、人材、顧客)を深く理解していれば、 外部の助言なしでも自社を成長させられるケースもあります。
ただし、優秀な経営者ほど、外部の知見を柔軟に取り入れる傾向があります。
経営コンサルタントが本当に価値を発揮する条件とは
| 観点 | 必要な要素 |
| 信頼関係 | 経営者が本音を話せる「伴走型」関係であること |
| 実行支援 | 提案だけでなく、社内での浸透・行動変革まで支援すること |
| 経営理解 | 財務諸表や組織構造だけでなく、「経営者の想い」を理解していること |
| 継続性 | 一過性のプロジェクトではなく、数年単位で企業体質を改善する姿勢 |
経営コンサルタントが必要な企業と不要な企業の比較表
観点 | 経営コンサルタントが 必要な企業 | 経営コンサルタントが 不要な企業 |
| 経営課題の明確度 | 課題が曖昧・潜在的で、どこに手をつけるべきかわからない | 自社の課題が明確で、改善策と実行体制が整っている |
| 経営者の姿勢 | 「外部の知恵を借りてでも変えたい」と考える開放的なタイプ | 「自分でやる」「外部に頼らない」と考える自立志向のタイプ |
| 組織体制 | 管理部門が脆弱・情報共有が不十分 | 管理・会計・人事の仕組みが整備されている |
| 意思決定プロセス | 経営者の直感頼み、属人的判断が多い | データや会議体に基づく意思決定プロセスが機能している |
| 経営環境の変化 | 市場変化・人材流動・後継者問題など「構造的変化」が大きい | 安定した事業構造・明確な顧客基盤を維持している |
| 経営者の孤独度 | 社内に相談相手が少なく、意思決定の壁打ち相手を求めている | 幹部・後継者・顧問など信頼できる相談者がいる |
| 専門知識の有無 | 財務・法務・DX・補助金など専門領域に弱点がある | 各分野に社内専門人材や外部顧問がすでに存在 |
| 実行力 | 方向性は見えているが、実行推進力や人材が不足 | 戦略立案から実行まで自社で完結できる力がある |
| 業績傾向 | 売上や利益が数年横ばい・漸減傾向 | 既に安定成長、または新規事業で拡大中 |
| 事業承継・次世代育成 | 後継者不在・若手幹部が育っていない | 後継者や経営幹部が明確で、計画的育成が進む |
| 求める支援タイプ | 伴走・壁打ち・課題発掘・中期計画策定 | スポット的な専門支援(税務・法務など)で十分 |
| コンサル導入効果 | 経営の“見える化”・改革スピードの加速 | コストに対して追加価値が出にくい |
いかがでしょうか。
ご自身の企業に当てはめてチェックしてみてください。
〈結論〉
経営コンサルタントは「必要か否か」ではなく、経営者が「第三者の視点」「専門知識」「意思決定支援」を必要と感じる瞬間に、信頼できるコンサルタントがそばにいること。
それが企業の持続的成長を支える最大の要因になります。
また、経営コンサルタントが必要かどうかは、「知識の欠如」ではなく、「気づきと変革を促す関係性」があるかで決まります。つまり、「知らないことを教えてもらう」ではなく、
「気づいていない課題を共に発見し、行動を促す伴走者」としての存在価値です。
以上、ご精読ありがとうございました。
次回は、企業にコンサルタントは要るのか!②として、
コンサルティングスタイル①(ワンストップサービス)の配信を予定しております。
