【保険代理店の課題 その2:人材育成②】
【保険代理店の課題 その2:人材育成②】
専業保険代理店がこれから生き残っていくために、真に必要なことは何か。
それは、以下の2つであると考えます。
① 経営者の意識改革
② 募集人への法人対応研修
「経営者の意識改革」は、代理店主が募集人ではなく、企業の経営者としての知識を身につけ、実行していくことです。
保険代理業の経営者に拘わらず、企業の経営者が行うべき業務をまとめると以下のようになります。
経営者の5大業務マップ
| 区分 | 主な業務 | 時間配分の目安 |
| ①方向づけ | 理念・方針・計画 | 20% |
| ②資源配分 | 資金・人材・DX | 20% |
| ③組織運営 | 幹部育成・文化醸成 | 25% |
| ④リスク管理 | 財務・法務・保険 | 15% |
| ⑤事業開発 | 新市場・新商品 | 20% |
① 方向づけ(理念・方針・計画)
5大業務のトップに記載されている最も重要な業務となります。
経営計画は、企業にとっての設計図です。家を建てるのに設計図なしで行うことが出来るでしょうか。また、そのような家を購入して住みたいと思うでしょうか。
残念ながら、経営計画書がない代理店や、あっても利害関係者から半ば強制的に作らされている代理店もあるのではないでしょうか。
「仏作って魂入れず」という諺がありますが、経営計画書が従業員に周知されていなかったり、お蔵入りしているようでは無いのと同じですね。
しかしながら、今ひとつ腹落ちしていない経営者がおられるのも事実です。
「これまでずっとやってこれた」との思いがあるのも否めませんが、保険代理業の現状、そして今後の展開は、この経営者の判断次第で個社としての事業継続が立ちいかなくなる可能性が十分あると言えます。
② 資源配分(資金・人材・DX)
保険代理業にとって、ここで重要なのは「人材」と言えるでしょう。近年はITの進化によりDXも重要ですが、これについては生産性向上と合わせてお伝えする予定です。
経営資源は「人、モノ、金、情報」と言われますが、その中で最も重要なものが「人」であり、「採用、育成、定着」に分解されます。今回は、育成についてのお話をいたします。
保険代理業にとっての人材育成とは何でしょうか?
これまでは、どのように行われてきたのでしょうか?
一般的には、損害保険会社が持つ制度に研修生制度がありますが、近年は独立型ではなく、プロ代理店の従業員となる前提で、1年間程度の研修を受けるコースが主流のようです。
そこで学ぶのは、ビジネスマナーと保険商品知識(主に個人分野)」が中心となっています。
個人分野に特化した専属代理店を目指すのであれば、これでもよいのでしょうが、企業分野に対応するためには不十分でしょう。
以前、複数の代理店の募集人に、「中小企業を紹介された場合、単独訪問してコンサルティングを行う自身がありますか?」との質問に対して、「自身があります」と返答した方は残念ながら皆無でした。個人分野のコンサルティングと企業分野のコンサルティングでは大きな差があります。
代理店を育成する立場にある保険会社も、この役割を十分担えているとは言えません。また、これを担う機関も少ないのが現状です。
法人対応に必要な最低のスキルは、企業へのリスクコンサルティングです。そのためには企業に対する一定の知識が必要です。
では何を学べばよいのか。私は、国内では「中小企業診断士資格」もその一つであると考えます。私自身もこの資格を取得し、そう感じました。ただし、資格取得にはかなりの時間を要しますし、資格取得が目的ではありませんので、これをベースにした研修を当社では提供いたします。
③ 組織運営(幹部育成・文化醸成)
ここで重要なのは、幹部育成です。さらに言えば後継者育成となります。
国内の中小企業は後継者不足で、会社の売却を余儀なくされているケースは少なくありません。
中小企業庁がまとめた「中小企業白書(2024年版)」によると、2023年時点で後継者不在率は 54.5% と報告されています。
保険代理業が法人化し、従業員を抱えるようになったのは1996年の自由化以降です。それから30年が経ちました。当時の経営者は高齢化しており、世代交代の時期となっています。経営者の子に継がせるケースも多いようですが、この人選を誤ると企業は崩壊して無くなるでしょう。そのことは、これまでの歴史が証明しています。
当社は後継者育成や、人選におけるセカンドオピニオンとしての役割も担うサービスも提供いたします。
④ リスク管理(財務・法務・保険)
保険代理業にとって、ここは本業の分野ではありますが。紺屋の白袴とならないように、財務における生産性や労働分配、法務における知的財産権や消費者保護法、サイバーセキュリティ対策などは押さえておくべきでしょう。
⑤ 事業開発(新市場・新商品)
他の業種においても戦略立案は重要なものですが、これを整理する有名なフレームワークに「アンゾフの市場マトリックス」があります。今後、保険代理業においても極めて重要な選択を行う局面がきていると考えます。
フレームワークに落とし込むと、以下のようになります。これは私見ですので、皆様ご自身でよく検討してみてください。
アンゾフの市場マトリックス(保険代理業)
| 既存商品・サービス | 新規商品・サービス | |
| 既存市場 | 市場浸透戦略 | 新規取組戦略 |
| 個人分野に特化した専属代理店 | 金融商品やITなど、保険以外のコンサルティングサービス | |
| 新規市場 | 新市場戦略 | 多角化戦略 |
| 企業分野を中心とする乗合または専属代理店 | 経営コンサルティング業など |
経営者の意識改革につきましては、以上となります。
募集人への法人対応研修は、次回のさむらい通信で人材育成③として配信いたします。
